個々人の価値観

こうして見てくると「配偶行動」というのは、けっして相手のステータスだけで決まるものではないということがわかります。それは、魅力という問題があるからです。そのどちらを重視するかというのが、古来、文学や映画の主題になってきたのです。肉体的な魅力をとるのか、精神的な優しさをとるのか、はたまた社会的な有利さをとるのかIそこには常にジレンマが生まれます。どれをとるかは個々人の価値観によるわけですが、同じ人間であっても、いつも価値観が同じであるとは限らないため、事はさらに面倒になります。一人の男性に二人の女性ができてしまうことがあるのはそのためです。二人の女性を同時に愛し続けることができないというので、一方を抹殺しようと考えたりすることすらあります。石川達三の小説『僕たちの失敗」、セオドア・ドライサー原作の『アメリカの悲劇」をジョージ・スティーブンスが監督して映画化した「陽のあたる場所』など、そうした男の心の葛藤をみごとに描いた作品でした。片や地位が高くて教養もある上流階級の女性に対して、女工さんのような庶民階級に属する相手が出てきて、一人の男が悩み苦しむわけです。アメリカ映画にこのタイプの作品がけつこう多いのは、アメリカでは、ステータスと個人的な魅力との乖離(かいり) が大きいからです。○攻撃的、支配的、強力的な男性はゼロサム社会では出番がない人間の「配偶行動」は、実に複雑な要素がからみあっています。互いの価値観の違い、美醜に関する尺度、頭のよし悪し、肉体的な強弱、あるいは社会的な背景、育ってきた環境、教養の違いなど、どれをもっとも重視するかは、人によって違います。ここを読んだら、これからここ→で、出会う相手と上手に駆け引きができますね。

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