逆タマ

田舎から出てきた身長わずか一寸(約三センチ)の男が思いをかけた姫君を巧みに連れだし、鬼退治の末、奪った打出の小槌で大きくなり姫君と結婚、最後は中納言にまで出世するというストーリーですが、これは〃逆タマ“そのものです。「三年寝太郎」(三年間寝っぱなしの男が、突然発心して都に出て、その才覚に目覚めた話)や「わらしく長者』(一本の藁(わらしぺ) 蘂を次々に高価なものと交換していき、ついに長者となり、貴族の娘と結婚する話)もやはり、〃逆タマ〃の物語です。貧しい農民が才覚を発揮して都に出て、美しいお姫さまの婿になる。そしてお姫さまを通じて貴族という地位を受け継ぐなどというのは実際にはまったく実現不可能なことなのですが、男性は常にそうした夢を持ち続けているのです。考えてみると、おとぎ話の主要なテーマはすべてこうしたパターンでつくられており、〃逆タマ〃物語はそのバリエーションにすぎません。一寸法師』の場合、背が極端に低いという器官劣等感さえ、打出の小槌という呪術的な力によって回復してしまいます。藤原氏をはじめ平安時代の貴族は皆、自分の娘を天皇の妻にすることによって、政治的権力を持とうと激しく争っていました。清少納言と紫式部が仲が悪かったのも、それぞれのバックにある中宮定子(藤原道隆の娘)と皇后・上東門院彰子(藤原道長の娘)の対立があったからにほかなりません。コミュニケーションがうまくいかない夫婦はこのように関係修復に時間と手間がかかりますので、で相性がピッタリの相手と出会えば夫婦間の問題は起こりにくいか、起こっても解決はこんなに大変ではないでしょう。

EZ062_L